月別アーカイブ: 2013年4月

精神の病気による息切れ≪過換気症候群≫

精神の病気による息切れに、“過換気症候群”があります。

 

この病気は、精神面での持続的な不安や不満、怒り、緊張といった蓄積されたストレスによって起こると言われている心身症の1つで、何らかの誘因で脳内の呼吸中枢が過剰に刺激されて呼吸数が増え、血液中の二酸化炭素が減り過ぎて息が苦しくなり、手足や唇がしびれたり、陰脈や動悸、めまいなど、空気が吸い込めないような感覚に陥ってしまうものです。

 

一般にまじめで責任感が強く、几帳面、完璧主義など、感情を抑制する傾向の強い人に多く見られると言われ、時期によっては毎日発作を繰り返したり、中には激しい過呼吸と無呼吸とを繰り返して意識がもうろうとしてしまう人もいますが、死んだり後遺症を残したりすることはなく発作は数十分続いて時間の経過とともに症状は良くなっていきます。

 

高齢者の場合には“過換気症候群”が狭心症を誘発してしまうこともあるので注意が必要ですが、殆どの場合紙袋を口に当てて自分の吐いた息を吸い込むことによって血中の二酸化炭素の濃度を上げるペーパーバッグ法や、精神安定剤の注射などによって症状は比較的簡単に治まります。

 

けれども長い間に根付いてきた価値観や思考傾向というのは、本人が自覚して何としてでも改善しようとする積極的な姿勢がないとなかなか変えることはできないもので、ストレスを与えていると思われる環境を取り除いただけでは根本的な治療にはならないと言われますし、うつ病やパニック障害、強迫神経症などの精神疾患に付随して生じている場合には並行して治療を行う必要があります。

精神の病気による息切れ≪パニック障害≫

“不安障害”の1つ“パニック障害”は、脳神経の障害によって起こる病気で、突然の息切れやめまい、ふらつき、動悸、頻脈、発刊、吐き気、しびれなどの発作が起こり、さらに顔がほてったり寒気がしたり、胸の痛みが起こったりして気の遠くなるような感覚に陥り、自分はこのまま死んでしまうかもしれないというような激しい不安に襲われる病気です。

 

そのために人が多く集まる場所に行ったり、電車やバス、飛行機といった乗り物に乗ることができなくなる人も多いのですが、実際に発作は10分~30分程度で治まることが多く、病院で検査をしても身体的な異常は見つからないことが多いようです。

 

原因は、精神的な不安やストレス、疲労などが蓄積された結果、大脳や小脳、脳幹、松果体、視床下部などといった分野で構成され情報の伝達や処理を行っている脳の神経細胞の連携バランスが崩れて誤作動が生じるためと考えられ、ノルアドレナリンやセロトニンといった神経伝達物質がこれに大きく関わっていると考えられています。

 

治療では、抗不安薬のベンゾジアゼピンや抗うつ薬のSSRI、などを使った薬物療法や、パニックが起こる原因を分析して克服する精神療法、カウンセリングを行って認知のゆがみを見つけて修正する認知行動療法、不安や恐怖を感じる環境にあえて身をおいて体を慣らしていく曝露療法などが行われていますが、今の時点ではこれといった確かな効果をあげることのできる治療法はないようです。

腎臓の病気による息切れ≪腎不全≫

“息切れ”は、腎不全などの腎臓の病気によって起こることもあります。

 

人間は生きて行くためには呼吸や代謝を行わなければなりませんが、私たちの細胞の中ではこれらのしくみが行われる過程で二酸化炭素や乳酸といった酸が常に産出されていて、このままにしておけば体液が酸性化して、酵素がうまくはたらかなくなります。

 

その結果代謝が悪くなり健康を害してしまう危険がありますが、血液には酸と塩基とのバランスを調節して常にphは7.30~7.50に保つはたらきがあって、これによって安全な形で肺胞まで送り届けられ、呼吸によって二酸化炭素は排出され、さらにその他の酸化物質は腎臓で処理されて尿によって体外に排出されるというように、血液と呼吸と腎臓のはたらきとによって酸と塩基のバランスはうまく保たれるようになっています。

 

たとえば、血液が酸性になってphが下がると脳の呼吸をつかさどる部分に刺激が伝わって呼吸は速くなり、二酸化炭素がたくさん排出され、同時に腎臓もより多くの酸を尿中に排出することで酸性に傾いた血液をもとに戻そうとします。

 

ところが腎不全が起こって腎臓の機能が低下すると、酸を体外に排出することができなくなって“代謝性アシドーシス”という状態になり体内で酸が増え続けることによって、心不全や貧血がおこり呼吸は浅くて速くなって息切れが起こります。

 

さらに悪化すると極度の脱力感や眠気、吐き気、嘔吐、血圧低下を引き起こしてショック状態となり昏睡状態に陥ることもあります。

血液の病気による息切れ≪貧血≫

血液は酸素や二酸化炭素を運ぶ“赤血球”、体内に侵入した細菌などを殺す“白血球”、出血した時に血液を固まらせる“血小板”、二酸化炭素や養分を運ぶ“血しょう”の4つの成分から成り立っています。

 

赤血球の主成分は“ヘモグロビン”という鉄の化合物で、この物質は肺で酸素と結合し体内の毛細血管を通って体の各組織に酸素を送り、さらに組織にある二酸化炭素と結合してそれを肺に戻す役割を果たしています。

 

“貧血”というのはこの赤血球や、赤血球に含まれるヘモグロビンが不足している状態を言い、このような状態が持続すると赤血球が十分に成熟することができなくなって不完全な赤血球がつくられることになります。

 

ヘモグロビンが十分に含まれている赤血球はきれいな丸い形をしていて、焼く前のハンバーグのように中央がややへこんでいますが、ヘモグロビンが不十分なものは小さくなって中央のへこみもなく、全体がいびつな形をしています。

 

また、ヘモグロビンの量が少ないと酸素運搬効率が悪くなって体に十分な酸素を供給することができなくなり体は酸欠状態に陥って器官や細胞が活発に働けなくなるために、疲れやすくなったり、たちくらみや動悸、息切れが起こりやすくなります。

 

“動悸”は、体が不足している酸素をもっと多く送り届けようとすることによって起こる症状で、“息切れ”は体がもっと激しく呼吸をしてより多くの酸素を取り込もうとすることによって起こる症状なのです。

心臓の病気による息切れ≪心筋梗塞≫

“心筋梗塞”は、心臓の冠状動脈の血管の内側に血管内のプラークと呼ばれる脂肪の塊が破れてできた血栓が詰まって、心筋へ血液を送ることができなくなった状態をいい、冠状動脈が完全に閉塞して約40分後に心内膜側の心筋細胞が壊死してしまいます。

 

さらに心筋梗塞によって、全身に血液を送り出す役割を果たしている心臓の左心室のポンプ機能が低下すると、肺に血液が溜まって肺胞の中が水浸しになる肺水腫という状態になり、肺胞での酸素と二酸化炭素のガス交換がスムーズに行われなくなってしまうので一刻も早く処置を行うことが重要であると言われています。

 

心筋梗塞では、息切れや動悸、締めつけられるような息苦しさという症状が前兆として現れることも多いと言われます。

 

また心筋梗塞が起こって命が助かったとしても、心筋の細胞が壊死した範囲が広い場合にはその後に“心不全”や“不整脈”を起こしやすくなります。

 

“心不全”は、心筋梗塞によって心臓の細胞の一部が破壊されてポンプ機能が起こることによって、全身に十分な量の血液を送ることができなくなってしまい息切れの症状などを起こすもので、最初は階段を上る際に苦しさを感じる程度ですが、ひどくなると食事をするだけでも疲れたり、夜間に呼吸困難に陥ることもあります。

 

心筋梗塞の後遺症には“不整脈”もあり、中でも心室細動という不整脈は心室が痙攣をおこしたような状態になって心臓のポンプ機能が損なわれて血液を送り出すことができなくなるもので、急に激しい動悸や息切れが起こって数分間で死に至る危険なものです。