月別アーカイブ: 2013年3月

心臓の病気による息切れ≪狭心症≫

“狭心症”という心臓の病気は、“虚血性心疾患”の体表的なものです。

 

“虚血”というのは“必要な血液が臓器に行きわたらない状態”のことをいい、“狭心症” の初期の段階では、体重が増えたわけでもないのに坂道や階段の上り下りの際に息切れがするようになったり、のどやあご、胸にしめつけられるような感じがするといった症状が出て、少しじっとしていると治まってくるようなことがよくあるようです。

 

私たちの心臓へは冠動脈を通して1分間に約250mlの血液が送り込まれているのですが、動脈硬化や血栓が原因で心臓の冠動脈に狭窄や閉塞が起こって心筋への血液や酸素の供給が十分に行われなくなると、動悸や息切れ、さらには胸に押しつぶされるような痛みや胸がつまるような症状が数分から、長ければ十数分持続することもあります。

 

軽度の狭心症の場合は、バランスの良い食事と適度な運動によって生活習慣を改善したり、すでに高血圧や高脂血症、糖尿病、貧血、甲状腺疾患などの持病がある場合には並行して治療を行い、狭心症に対しては必要であれば冠動脈を広げたりリラックスさせるような薬を服用して症状を抑えます。

 

また重度の狭心症の場合は、薬物療法の他に足の付け根などからカテーテルという細い管を入れて血管の狭くなった部分を拡げる“冠動脈インターベンション”や、つまった冠動脈に血液が流れるための新しい道を作る“冠動脈バイパス術”などの手術が行われることもあります。

 

いずれにしても狭心症を放置しておくと心筋梗塞になる可能性もあるので、息切れや突然の胸の痛みなどの症状が起こったら、必ず病院で精密検査を受ける必要があります。

心臓の病気による息切れ≪心不全≫

“息切れ”というと私たちはすぐに肺の病気を疑いますが、肺と密接に関わっている心臓や血液の病気が原因となっていることもあります。

 

栄養素や酸素を全身の細胞に送りだすポンプの働きをしている心臓と、血管と密着して酸素と二酸化炭素のガス交換を行っている肺とは直接つながっていて、心臓の右心室から出た血液は肺動脈を通って肺に入り、肺で酸素と二酸化炭素が交換されて、肺静脈から心臓の左心室に戻っていきます。

 

こうして、肺と心臓の共同作業によって酸素をたっぷり含んだ新しい血液が全身へと送り出されるしくみになっています。

 

“心不全(心機能不全)”という心臓の病気は、心筋の収縮力が低下して心臓のポンプ機能に問題が生じ、血液を末梢組織まで送りだすことができなくなってしまうのですが、心臓のどの部分に機能不全が起こっているかによって症状も異なってきます。

 

左心室の収縮機能が低下する“左心不全”が起こると、肺にうっ血がおこってむくみ、仕事中に息切れがしたり、夜中に急に胸が苦しくなって目が覚めたり、重症化すると激しい呼吸困難を伴う肺水腫になることもあります。

 

“肺水腫”というのは、血液中の液体が血管からしみ出て肺胞の中にたまるもので、これによって肺のガス交換が行われにくくなって動脈血中の酸素が不足し、不整脈や呼吸困難、意識障害などといったさまざまな症状が現れます。

 

ちなみに右心室の収縮機能が低下する“右心不全”の場合は、“左心不全”とは違って静脈のうっ血が起こるために胃や腸、下肢など全身に血がたまってむくみが出てきます。

肺の病気による息切れ≪閉塞性肺疾患≫

肺胞が硬くなって膨らみにくくなる“拘束性肺疾患”に対して、気管支の枝の部分が狭くなって息切れや咳、痰などを伴う病気に“慢性気管支炎”や“肺気腫”、“気管支喘息”などの“閉塞性肺疾患”があります。

 

“慢性気管支炎”は原因不明の頑固な咳や痰が長く続く病気で、発症の危険因子として長期間の喫煙が挙げられます。

 

私たちの気管支内の粘膜には粘液を分泌する“杯細胞”という細胞があって呼吸によって体内に異物が入ってきたら粘液でとらえて痰としてのどの方に押し出してくれますが、長期にわたるたばこなどの有害物質の刺激によって杯細胞の数が増え、痰の量も増えて黄色い痰や血液の混じった痰が出てくることもあります。

 

こうして気管支の部分では、硬くなった粘液が線毛の働きを妨げるために病原体の数も増えて慢性気管支炎が起こり、咳や息切れ、喘鳴といった症状も悪化し、気管支の周りの壁も傷ついて弾力性がなくなり、そこに痰が溜まる“気管支拡張症”を引き起こしたり、さらに殆どの場合、肺胞が拡張したまま戻らなくなって吸い込んだ息を十分に吐き出せなくなる肺気腫の症状を伴うことから、“慢性気管支炎”には“慢性閉塞性肺疾患(COPD)”という診断名が下されることが多いようです。

 

そして、病気が進むと坂道や階段の上り下りで咳や息切れが起こったり、呼吸困難をきたすこともあります

 

一方同じ“閉塞性肺疾患”でも、“気管支喘息”の場合は疲れたり冷たい空気に当たったりしただけで喘鳴や咳、息切れの症状を伴う発作が突然始まって非常に強い呼吸困難に陥ることもあります。

肺の病気による息切れ≪拘束性肺疾患≫

息切れの原因の1つに、“特発性肺線維症”や“脊柱側わん症”などの“拘束性肺疾患”があります。

 

“拘束性”というのは肺が硬くなって膨らみにくくなる症状で、これによって肺に取り込む空気の量が減ると酸素と二酸化炭素とのガス交換が十分に行われなくなって肺の機能が弱まります。

 

まず“特発性肺線維症”を見てみると、この病気は肺を構成している小さな袋に傷ができ、身体がそれを修復するためにコラーゲンなどが増加して細胞の壁が厚くなってしまうもので、初期には空咳や坂道・階段の上り下りでの息切れが認められる程度ですが進行すると呼吸を維持することも難しくなります。

 

50歳以上の男性に発症することが多いことから、喫煙も危険因子と考えられています。

 

次に、“脊柱側湾症”は脊柱が不自然な方向に湾曲してしまう病気です。

 

私たちの背骨は横からみると前後にゆるやかなカーブを描いて曲がっていて、これは生理的湾曲と言われる正常なものですが、正面から見て横に湾曲してしまうこともあります。

 

この病気を“脊柱側湾症”といい、腰痛や肩こり、背中の痛み以外にも胃下垂や逆流性食道炎、生理痛が起こったり、重くなると胸骨や肋骨の変形によって肺の機能が低下して呼吸がしづらくなり、息切れを起こすこともあります。

 

発症は乳児期、学童期、思春期といった若年期に集中していて特に思春期の女子に発症することが多く、成長期を過ぎれば進行は納まりますが、加齢とともに再発することもあるので早いうちに気付いて治療をすることが大切だと言われています。

肺の病気による息切れ≪感染症≫

階段を昇ったり、激しい運動をすることによって息切れを起こすことがあります。

 

これは運動によって身体がより多くの酸素を必要とするからですが、息切れには肺や心臓、腎臓、血液などの病気が原因となって起こるものもありますので、安静にしていてもこのような息切れの症状が出る場合にはすぐに医師の診察を受けるようにしましょう。

 

ところで、細菌やウィルスに感染して起こる病気で最も多いのに“風邪や気管支炎”があり、この時に起こる咳やくしゃみ、頭痛、発熱といった症状は普通の風邪であれば3~4日で治まってきますが、咳や痰が続いたり息切れがしたりする場合は肺炎や、慢性閉塞性肺疾患、ぜんそくなどを発症していたり、いつまでたっても息切れが納まらない場合は気管支炎を発症していることもあるので市販薬で済ませるのではなく病院で診てもらうようにしましょう。

 

呼吸困難や息切れ、胸の痛みが続いたり、嘔吐や下痢の症状がある場合はただの風邪ではなくて“インフルエンザ”が疑われます。

 

また口を大きくあけると顎の両脇に“扁桃”と呼ばれるリンパ組織があって、口から体内に侵入しようとするウィルスや細菌をやっつける働きをしていますが、風邪などが原因となってこの部分に炎症が起きる“扁桃腺炎”を発症すると高熱が出てのどの痛みを生じ、重症化すると息切れや呼吸困難にもつながります。

 

そして“肺炎”や“肺気腫”、“肺結核”といった肺の病気の中でも深刻なものになると、息切れの症状はさらに強くなってきます。