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精神の病気による息切れ≪過換気症候群≫

精神の病気による息切れに、“過換気症候群”があります。

 

この病気は、精神面での持続的な不安や不満、怒り、緊張といった蓄積されたストレスによって起こると言われている心身症の1つで、何らかの誘因で脳内の呼吸中枢が過剰に刺激されて呼吸数が増え、血液中の二酸化炭素が減り過ぎて息が苦しくなり、手足や唇がしびれたり、陰脈や動悸、めまいなど、空気が吸い込めないような感覚に陥ってしまうものです。

 

一般にまじめで責任感が強く、几帳面、完璧主義など、感情を抑制する傾向の強い人に多く見られると言われ、時期によっては毎日発作を繰り返したり、中には激しい過呼吸と無呼吸とを繰り返して意識がもうろうとしてしまう人もいますが、死んだり後遺症を残したりすることはなく発作は数十分続いて時間の経過とともに症状は良くなっていきます。

 

高齢者の場合には“過換気症候群”が狭心症を誘発してしまうこともあるので注意が必要ですが、殆どの場合紙袋を口に当てて自分の吐いた息を吸い込むことによって血中の二酸化炭素の濃度を上げるペーパーバッグ法や、精神安定剤の注射などによって症状は比較的簡単に治まります。

 

けれども長い間に根付いてきた価値観や思考傾向というのは、本人が自覚して何としてでも改善しようとする積極的な姿勢がないとなかなか変えることはできないもので、ストレスを与えていると思われる環境を取り除いただけでは根本的な治療にはならないと言われますし、うつ病やパニック障害、強迫神経症などの精神疾患に付随して生じている場合には並行して治療を行う必要があります。

精神の病気による息切れ≪パニック障害≫

“不安障害”の1つ“パニック障害”は、脳神経の障害によって起こる病気で、突然の息切れやめまい、ふらつき、動悸、頻脈、発刊、吐き気、しびれなどの発作が起こり、さらに顔がほてったり寒気がしたり、胸の痛みが起こったりして気の遠くなるような感覚に陥り、自分はこのまま死んでしまうかもしれないというような激しい不安に襲われる病気です。

 

そのために人が多く集まる場所に行ったり、電車やバス、飛行機といった乗り物に乗ることができなくなる人も多いのですが、実際に発作は10分~30分程度で治まることが多く、病院で検査をしても身体的な異常は見つからないことが多いようです。

 

原因は、精神的な不安やストレス、疲労などが蓄積された結果、大脳や小脳、脳幹、松果体、視床下部などといった分野で構成され情報の伝達や処理を行っている脳の神経細胞の連携バランスが崩れて誤作動が生じるためと考えられ、ノルアドレナリンやセロトニンといった神経伝達物質がこれに大きく関わっていると考えられています。

 

治療では、抗不安薬のベンゾジアゼピンや抗うつ薬のSSRI、などを使った薬物療法や、パニックが起こる原因を分析して克服する精神療法、カウンセリングを行って認知のゆがみを見つけて修正する認知行動療法、不安や恐怖を感じる環境にあえて身をおいて体を慣らしていく曝露療法などが行われていますが、今の時点ではこれといった確かな効果をあげることのできる治療法はないようです。

腎臓の病気による息切れ≪腎不全≫

“息切れ”は、腎不全などの腎臓の病気によって起こることもあります。

 

人間は生きて行くためには呼吸や代謝を行わなければなりませんが、私たちの細胞の中ではこれらのしくみが行われる過程で二酸化炭素や乳酸といった酸が常に産出されていて、このままにしておけば体液が酸性化して、酵素がうまくはたらかなくなります。

 

その結果代謝が悪くなり健康を害してしまう危険がありますが、血液には酸と塩基とのバランスを調節して常にphは7.30~7.50に保つはたらきがあって、これによって安全な形で肺胞まで送り届けられ、呼吸によって二酸化炭素は排出され、さらにその他の酸化物質は腎臓で処理されて尿によって体外に排出されるというように、血液と呼吸と腎臓のはたらきとによって酸と塩基のバランスはうまく保たれるようになっています。

 

たとえば、血液が酸性になってphが下がると脳の呼吸をつかさどる部分に刺激が伝わって呼吸は速くなり、二酸化炭素がたくさん排出され、同時に腎臓もより多くの酸を尿中に排出することで酸性に傾いた血液をもとに戻そうとします。

 

ところが腎不全が起こって腎臓の機能が低下すると、酸を体外に排出することができなくなって“代謝性アシドーシス”という状態になり体内で酸が増え続けることによって、心不全や貧血がおこり呼吸は浅くて速くなって息切れが起こります。

 

さらに悪化すると極度の脱力感や眠気、吐き気、嘔吐、血圧低下を引き起こしてショック状態となり昏睡状態に陥ることもあります。

血液の病気による息切れ≪貧血≫

血液は酸素や二酸化炭素を運ぶ“赤血球”、体内に侵入した細菌などを殺す“白血球”、出血した時に血液を固まらせる“血小板”、二酸化炭素や養分を運ぶ“血しょう”の4つの成分から成り立っています。

 

赤血球の主成分は“ヘモグロビン”という鉄の化合物で、この物質は肺で酸素と結合し体内の毛細血管を通って体の各組織に酸素を送り、さらに組織にある二酸化炭素と結合してそれを肺に戻す役割を果たしています。

 

“貧血”というのはこの赤血球や、赤血球に含まれるヘモグロビンが不足している状態を言い、このような状態が持続すると赤血球が十分に成熟することができなくなって不完全な赤血球がつくられることになります。

 

ヘモグロビンが十分に含まれている赤血球はきれいな丸い形をしていて、焼く前のハンバーグのように中央がややへこんでいますが、ヘモグロビンが不十分なものは小さくなって中央のへこみもなく、全体がいびつな形をしています。

 

また、ヘモグロビンの量が少ないと酸素運搬効率が悪くなって体に十分な酸素を供給することができなくなり体は酸欠状態に陥って器官や細胞が活発に働けなくなるために、疲れやすくなったり、たちくらみや動悸、息切れが起こりやすくなります。

 

“動悸”は、体が不足している酸素をもっと多く送り届けようとすることによって起こる症状で、“息切れ”は体がもっと激しく呼吸をしてより多くの酸素を取り込もうとすることによって起こる症状なのです。

心臓の病気による息切れ≪心筋梗塞≫

“心筋梗塞”は、心臓の冠状動脈の血管の内側に血管内のプラークと呼ばれる脂肪の塊が破れてできた血栓が詰まって、心筋へ血液を送ることができなくなった状態をいい、冠状動脈が完全に閉塞して約40分後に心内膜側の心筋細胞が壊死してしまいます。

 

さらに心筋梗塞によって、全身に血液を送り出す役割を果たしている心臓の左心室のポンプ機能が低下すると、肺に血液が溜まって肺胞の中が水浸しになる肺水腫という状態になり、肺胞での酸素と二酸化炭素のガス交換がスムーズに行われなくなってしまうので一刻も早く処置を行うことが重要であると言われています。

 

心筋梗塞では、息切れや動悸、締めつけられるような息苦しさという症状が前兆として現れることも多いと言われます。

 

また心筋梗塞が起こって命が助かったとしても、心筋の細胞が壊死した範囲が広い場合にはその後に“心不全”や“不整脈”を起こしやすくなります。

 

“心不全”は、心筋梗塞によって心臓の細胞の一部が破壊されてポンプ機能が起こることによって、全身に十分な量の血液を送ることができなくなってしまい息切れの症状などを起こすもので、最初は階段を上る際に苦しさを感じる程度ですが、ひどくなると食事をするだけでも疲れたり、夜間に呼吸困難に陥ることもあります。

 

心筋梗塞の後遺症には“不整脈”もあり、中でも心室細動という不整脈は心室が痙攣をおこしたような状態になって心臓のポンプ機能が損なわれて血液を送り出すことができなくなるもので、急に激しい動悸や息切れが起こって数分間で死に至る危険なものです。

心臓の病気による息切れ≪狭心症≫

“狭心症”という心臓の病気は、“虚血性心疾患”の体表的なものです。

 

“虚血”というのは“必要な血液が臓器に行きわたらない状態”のことをいい、“狭心症” の初期の段階では、体重が増えたわけでもないのに坂道や階段の上り下りの際に息切れがするようになったり、のどやあご、胸にしめつけられるような感じがするといった症状が出て、少しじっとしていると治まってくるようなことがよくあるようです。

 

私たちの心臓へは冠動脈を通して1分間に約250mlの血液が送り込まれているのですが、動脈硬化や血栓が原因で心臓の冠動脈に狭窄や閉塞が起こって心筋への血液や酸素の供給が十分に行われなくなると、動悸や息切れ、さらには胸に押しつぶされるような痛みや胸がつまるような症状が数分から、長ければ十数分持続することもあります。

 

軽度の狭心症の場合は、バランスの良い食事と適度な運動によって生活習慣を改善したり、すでに高血圧や高脂血症、糖尿病、貧血、甲状腺疾患などの持病がある場合には並行して治療を行い、狭心症に対しては必要であれば冠動脈を広げたりリラックスさせるような薬を服用して症状を抑えます。

 

また重度の狭心症の場合は、薬物療法の他に足の付け根などからカテーテルという細い管を入れて血管の狭くなった部分を拡げる“冠動脈インターベンション”や、つまった冠動脈に血液が流れるための新しい道を作る“冠動脈バイパス術”などの手術が行われることもあります。

 

いずれにしても狭心症を放置しておくと心筋梗塞になる可能性もあるので、息切れや突然の胸の痛みなどの症状が起こったら、必ず病院で精密検査を受ける必要があります。

心臓の病気による息切れ≪心不全≫

“息切れ”というと私たちはすぐに肺の病気を疑いますが、肺と密接に関わっている心臓や血液の病気が原因となっていることもあります。

 

栄養素や酸素を全身の細胞に送りだすポンプの働きをしている心臓と、血管と密着して酸素と二酸化炭素のガス交換を行っている肺とは直接つながっていて、心臓の右心室から出た血液は肺動脈を通って肺に入り、肺で酸素と二酸化炭素が交換されて、肺静脈から心臓の左心室に戻っていきます。

 

こうして、肺と心臓の共同作業によって酸素をたっぷり含んだ新しい血液が全身へと送り出されるしくみになっています。

 

“心不全(心機能不全)”という心臓の病気は、心筋の収縮力が低下して心臓のポンプ機能に問題が生じ、血液を末梢組織まで送りだすことができなくなってしまうのですが、心臓のどの部分に機能不全が起こっているかによって症状も異なってきます。

 

左心室の収縮機能が低下する“左心不全”が起こると、肺にうっ血がおこってむくみ、仕事中に息切れがしたり、夜中に急に胸が苦しくなって目が覚めたり、重症化すると激しい呼吸困難を伴う肺水腫になることもあります。

 

“肺水腫”というのは、血液中の液体が血管からしみ出て肺胞の中にたまるもので、これによって肺のガス交換が行われにくくなって動脈血中の酸素が不足し、不整脈や呼吸困難、意識障害などといったさまざまな症状が現れます。

 

ちなみに右心室の収縮機能が低下する“右心不全”の場合は、“左心不全”とは違って静脈のうっ血が起こるために胃や腸、下肢など全身に血がたまってむくみが出てきます。

肺の病気による息切れ≪閉塞性肺疾患≫

肺胞が硬くなって膨らみにくくなる“拘束性肺疾患”に対して、気管支の枝の部分が狭くなって息切れや咳、痰などを伴う病気に“慢性気管支炎”や“肺気腫”、“気管支喘息”などの“閉塞性肺疾患”があります。

 

“慢性気管支炎”は原因不明の頑固な咳や痰が長く続く病気で、発症の危険因子として長期間の喫煙が挙げられます。

 

私たちの気管支内の粘膜には粘液を分泌する“杯細胞”という細胞があって呼吸によって体内に異物が入ってきたら粘液でとらえて痰としてのどの方に押し出してくれますが、長期にわたるたばこなどの有害物質の刺激によって杯細胞の数が増え、痰の量も増えて黄色い痰や血液の混じった痰が出てくることもあります。

 

こうして気管支の部分では、硬くなった粘液が線毛の働きを妨げるために病原体の数も増えて慢性気管支炎が起こり、咳や息切れ、喘鳴といった症状も悪化し、気管支の周りの壁も傷ついて弾力性がなくなり、そこに痰が溜まる“気管支拡張症”を引き起こしたり、さらに殆どの場合、肺胞が拡張したまま戻らなくなって吸い込んだ息を十分に吐き出せなくなる肺気腫の症状を伴うことから、“慢性気管支炎”には“慢性閉塞性肺疾患(COPD)”という診断名が下されることが多いようです。

 

そして、病気が進むと坂道や階段の上り下りで咳や息切れが起こったり、呼吸困難をきたすこともあります

 

一方同じ“閉塞性肺疾患”でも、“気管支喘息”の場合は疲れたり冷たい空気に当たったりしただけで喘鳴や咳、息切れの症状を伴う発作が突然始まって非常に強い呼吸困難に陥ることもあります。

肺の病気による息切れ≪拘束性肺疾患≫

息切れの原因の1つに、“特発性肺線維症”や“脊柱側わん症”などの“拘束性肺疾患”があります。

 

“拘束性”というのは肺が硬くなって膨らみにくくなる症状で、これによって肺に取り込む空気の量が減ると酸素と二酸化炭素とのガス交換が十分に行われなくなって肺の機能が弱まります。

 

まず“特発性肺線維症”を見てみると、この病気は肺を構成している小さな袋に傷ができ、身体がそれを修復するためにコラーゲンなどが増加して細胞の壁が厚くなってしまうもので、初期には空咳や坂道・階段の上り下りでの息切れが認められる程度ですが進行すると呼吸を維持することも難しくなります。

 

50歳以上の男性に発症することが多いことから、喫煙も危険因子と考えられています。

 

次に、“脊柱側湾症”は脊柱が不自然な方向に湾曲してしまう病気です。

 

私たちの背骨は横からみると前後にゆるやかなカーブを描いて曲がっていて、これは生理的湾曲と言われる正常なものですが、正面から見て横に湾曲してしまうこともあります。

 

この病気を“脊柱側湾症”といい、腰痛や肩こり、背中の痛み以外にも胃下垂や逆流性食道炎、生理痛が起こったり、重くなると胸骨や肋骨の変形によって肺の機能が低下して呼吸がしづらくなり、息切れを起こすこともあります。

 

発症は乳児期、学童期、思春期といった若年期に集中していて特に思春期の女子に発症することが多く、成長期を過ぎれば進行は納まりますが、加齢とともに再発することもあるので早いうちに気付いて治療をすることが大切だと言われています。

肺の病気による息切れ≪感染症≫

階段を昇ったり、激しい運動をすることによって息切れを起こすことがあります。

 

これは運動によって身体がより多くの酸素を必要とするからですが、息切れには肺や心臓、腎臓、血液などの病気が原因となって起こるものもありますので、安静にしていてもこのような息切れの症状が出る場合にはすぐに医師の診察を受けるようにしましょう。

 

ところで、細菌やウィルスに感染して起こる病気で最も多いのに“風邪や気管支炎”があり、この時に起こる咳やくしゃみ、頭痛、発熱といった症状は普通の風邪であれば3~4日で治まってきますが、咳や痰が続いたり息切れがしたりする場合は肺炎や、慢性閉塞性肺疾患、ぜんそくなどを発症していたり、いつまでたっても息切れが納まらない場合は気管支炎を発症していることもあるので市販薬で済ませるのではなく病院で診てもらうようにしましょう。

 

呼吸困難や息切れ、胸の痛みが続いたり、嘔吐や下痢の症状がある場合はただの風邪ではなくて“インフルエンザ”が疑われます。

 

また口を大きくあけると顎の両脇に“扁桃”と呼ばれるリンパ組織があって、口から体内に侵入しようとするウィルスや細菌をやっつける働きをしていますが、風邪などが原因となってこの部分に炎症が起きる“扁桃腺炎”を発症すると高熱が出てのどの痛みを生じ、重症化すると息切れや呼吸困難にもつながります。

 

そして“肺炎”や“肺気腫”、“肺結核”といった肺の病気の中でも深刻なものになると、息切れの症状はさらに強くなってきます。